純和式の畳が浮世絵の額縁になりました
多色摺りの木版画。何枚もの版木を使って、重ね摺りをしてゆきますが、どうしたらズレずに位置合わせができるかというと、「見当」を取っているからです。
私は木版画を趣味で始めた時に、誰からも教わらず、自己流の見当の方法を考え出しました。下の写真の左側がその方法で、年賀状の1つのコーナーとそれに隣接したヘリを使って位置合わせを行うのです。各版木はこのコーナーとヘリに位置合わせをして描いた絵で彫れば、重ね摺りで位置合わせされた合成画ができるのです。
一方、見当の考え方同じですが、プロは右図のように、コーナー、ヘリ、それぞれに彫りを入れた見当を作ります。紙をセットする際の滑りを防止する為で、この方が確実にズレのばらつきは少なくなります。ただ、写真でいうフチあり印刷という仕上がりになりますので、フチなし印刷仕上がりにこだわる私はずっと、自己流の見当でやってきました。
ちなみに歴史的には、18世紀後半、鈴木春信がある歌会の席で、歌を書く紙を飾るのに白黒の木版画の絵に色を付けたいと思いつき、あの平賀源内に相談しました。そして平賀源内がこの見当ということを考え出し、初めて多色摺りが可能となり、浮世絵文化が花開いたのでありました。
