純和式の畳が浮世絵の額縁になりました
摺り上がった木版画は、通常の印刷とは大きな違いが生じているのですが、その原理を簡単に下図に表しました。
通常の印刷では紙の表面上にインクが乗っている状態で仕上がるのですが、木版画では絵の具が紙の奥まで吸い込まれているのです。
その証拠として、木版画を裏返して見ると、しみ込まれた絵の具が透けて見えます。一例として、今でもベストセラーの北斎「神奈川沖浪裏」の木版画(復古版)でその裏の状況を確認しますと、像がしっかり透けて見えるのが分かります。(写真右下)
ちなみに、この裏から見るというのは、本当に木版画か否かを判定する鑑定法でもあります。
紙に絵の具がしみ込んでいるからこそ、木版画独特の深みのある、味わいのある質感というものが生み出されてくるのです。また、このような仕上がりの為には、油性インクではダメで、水性絵の具が必要であり、版が金属やゴムではダメ、インクジェットでは紙深くにはしみ込まない、等々、やはり木を彫って水性絵の具(顔料)をのせて紙に摺る、という行為をしなければできないものなのです。
