純和式の畳が浮世絵の額縁になりました
常に高品質な作業を追究する彫師・摺師は、用いる材料の材質においてもとてもこだわりがあります。
彫師においは、版木は「山桜の木」を使います。非常に細かい所まで切れるよう固い反面、切れる為にしなやかさ もあり、重ね摺りに耐えうる強度もあり、水を含んでも反りにくい特性等も持っているからです。また貴重で高価 な木なので、両面彫りにしてムダなく有効に使っています。
一方、摺師においては和紙。和紙(石州半紙、本美濃紙、細川紙)は、2014年ユネスコ無形文化遺産となりましたが、これら原料が楮(こうぞ)100%の手漉きの和紙は「生漉き奉書」と呼ばれ、昔から武家や幕府の公文書として使われきました。非常に丈夫であることから、何十回もの重ね摺りを行う摺師の作業には、この生漉き奉書が欠かせないものとなっています。このような高級な和紙も手作りでなければ作れないものでありますが、以下に美濃での和紙制作工程の概略を紹介致します。
ここうして出来上がった和紙は、すぐに摺り作業に使えるものではなく、「ドーサ引き」と呼ばれるコーティング作 業が必要です。これは、絵具のにじみを防止する作業で、膠(にかわ)と明礬(みょうばん)の混合液を和紙表面に塗布 しますが、その混合比、濃度などは温度、湿度などにも左右される為、ドーサ引きも専門の職人さんが行っています。
このように、和紙一つとっても、とても深い世界があります。


