純和式の畳が浮世絵の額縁になりました
浮世絵の復刻版について更に詳しくご紹介したいかと思います。
普通、絵画といえば、画家が描いた原画を本物として、それを模写した作品を模倣品或いはレプリカなどと呼んで、悪くいえばニセモノ的な扱いを受けます。しかし、浮世絵師の原画というのは、実は輪郭線(墨線)だけなのですが、それすら版木を作るプロセスでゴミとなります。その版木を元に大量の浮世絵が出来上がってきますが、どれが本物なのでしょうか?私はすべて本物だと思いますが、木版画の世界では、本物VS模倣品(レプリカ)という発想がありません。
木版画では、最初の摺りロットを「初摺り」と呼び、同じ版木によるその後の摺りを「後摺り」と呼んでいます。その作品を原図として復刻版の版木を作くって、また摺ります。そしてまたその作品原図として復刻版の版木を作る‥という具合に、何度も復刻版が起こされました。本来、完璧な復刻版を作るプロセスがあるのですが、ただ長い歴史の中では、コストダウンの為に色数を少なくしたりとか、違う色を使ったり、別のデザインを加えたり、といったことが行われ、復刻版を繰り返した結果、中には粗雑品も含まれてしまいました。そういった粗雑品を原画にしたら、良い復刻版は作れません。
しかし、今でも入手困難な初摺り品を原画として復刻版が作られていますが、そのクオリティーは驚くほど高いです。それは十分にビジネスとなり、多くの職人を生き残らせてもきました。このクオリティーの高さを知らない人は多く、まだまだ発展する余地が残されていると思われます。
