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純和式の畳が浮世絵の額縁になりました
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第28話

木版画のデザインで生じる制約というのは、木版画の彫りや摺りに深く関係しているということがお分かり頂けたと思います。木版画はこのようにデザイン・彫り・摺りの調和がうまく取れていないと、立ち所に愚作となってしまう恐ろしさがあります。反面、うまく調和が取れた時には、他の芸術には見られない独特な美しさを発します。それはあたかも電気回路の共振現象のようです。インダクタンス、キャパシタンス、周波数の3者がある条件を満たさないと共振しないのと同様で、共振するとしないとでは大違いです。共振させるためには、3者の調整を取らなければいけないのです。
伝統的な木版画の組織体制において、彫師・摺師は大幅に減少しましたが、今でもまだ健在です。実は、絵師と版元が瀕死状態になってしまったことが一番の問題であり、近年それが故に共振するような作品ができなくなってきたのです。昔は、共振の調整役は絵師でしたが、今日そのような絵師は枯渇しています。ではどうすれば再生できるかといえば、版元がその調整役となればそれが可能だと私は考えています。